ヒノキ(檜、桧)【ヒノキ科ヒノキ属】
■学名:Chamaecyparis obtusa
■比重:約0.4
■産地:日本列島各地、台湾の一部
■別名:ヒバ、ヒ、ホンヒ
いわく「日本建築材の王様」。
またいわく「世界最高の針葉樹」。
西暦720年に成立したとされる日本最古の正式な歴史書「日本書紀」の中で、スサノオ神が『スギとクスノキは船に、ヒノキは神宮に、コウマヤキは棺に用いよ』と述べていることからも、どう短く見積もっても飛鳥時代以前にはすでに名のある建築材として君臨していたことが知られています。
伊勢神宮をはじめとする各地の神社、「世界最古の木造建築」法隆寺、各地の城の御殿など、ヒノキがあったから現存できたもの、ヒノキがあるから復元できるもの、ヒノキなくしては受け継いでいくことができないものがいかに数多いかという事実———
そして日本人にとっては当たり前のこのヒノキが、実は台湾の一部を除くと日本列島にしか生育しないという事実とを合わせて考えると、名の由来のひとつが「日の木」であることもたしかに頷けます。
……と、教科書的な味のする内容はここまでにして、こうしてボールペンの柄になったときの特長は、なんといっても「しっとり感」と「柔らかさ」を併せ持っているのが実感できる点です。
ふつう、柔らかい木=密度が低い(比重が少ない)ということなので、どちらかといえばスギやキリのように乾いた手触りがするのですが、ヒノキのかなり例外的な緻密さで並んでいる繊維は、きちんとオイル仕上げをすると不思議なほどしっとり触れるのです。
また、柱や障子のような大きいものではちょっと視認しづらい「繊維の輝き」が、角度を変えるたびにツヤっと光ることで強調されるのも魅力。
浴衣や甚兵衛などの和服に似合うのはもちろんのこと、白さがモダンだからかストライプがくっきりしているからか、ネイビーやダークグレーのスーツによく似合うのも意外なところ。
これほど永く愛されてきただけあって、華やかさと素朴さ、洗練と親しみやすさが同居しており、しかも軽くて耐久性が高いやらなんやら……さすがは日本が世界に誇る銘木です。
樹種の一覧
モアビ / Moabi チェリー / Cherry
ホオノキ / Magnolia 山桜 / Jamasakura
クリ / Marron ウォルナット / Walnut
アッシュ / Ash ウェンジ / Wenge
カリン / Burmese rosewood ビーチ / Beech
ゼブラウッド / Zebra オーク / Oak
ヒノキ / Japanese cypress チーク / Teak
メープル / Maple ケヤキ / Zelkova