蔵珍窯(ぞうほうがま)
岐阜県の神社庁ご用達の窯元、蔵珍窯。
作家であり職人でもある主宰者 小泉蔵珍さんは、江戸時代から続く神官の12代目で、なんと敷地内には神社と工房のどちらもがあります。
なんといってもそのうつわの最たる特長は、実際に鳥居にも使われている弁柄(べんがら)の赤……一度は失われてしまった「まぼろしの弁柄」の鮮やかな赤。
人間国宝である加藤貞夫先生、五代目幸兵衛先生のもとで積んだ技術と知識をもとに、志野焼、織部焼といった「これぞ美濃焼!」というシリーズも製作しています。
安価な量産品ではなく、あまりに作品的な高価なものでもない、その中間をねらったものづくりという「第三の奔流」をテーマに、窯元として社内また社外にも職人を育て、その手仕事をいかした器づくり。
ちょっとほっこりするものからキリッと引き締まった線のものまで、「用の美」のうつわをぜひ手にお取りください。
盃 金彩網目(きんさいあみめ)
■サイズ:直径5.2cm × 高さ3.6cm
■容量:すりきり40cc
■重さ:37gほど
■品名:陶器
□電子レンジ:× 純金使用のため不可
□食器洗浄機:△ おすすめ致しません
■装丁:トムソン箱
■製造:日本製 岐阜県多治見市
岐阜県の神社庁ご用達の窯元、蔵珍窯(ぞうほうがま)のおちょこです。
陶土のかすかな気泡や荒々しさをそのままに、金彩であみ目をぐるりと施した酒器。
鉄釉の深い黒茶といい、かなり無骨な手触りといいワイルドな路線とおもいきや……
すこし丸みのあるたわんだデザインと、筆で描く金彩の華やかさがほどよいバランスにまとめています。
同じデザインの片口もございますので、ギフト用の酒器セットとしてもおすすめです。
あみ目がフチ(椀でいうところの口縁)にかかって、ふたたび銅のほうへ折り返すところで金彩がくるっと小さな輪を描いてきらりと光り、飽きを感じさせないアクセントになっています。
(写真には京都府溝川工業の「HANACHI 平盆」を使用しております。)
・金彩(きんさい)の魅力と注意点
純金は極めて安定した金属で、酸化もせず、還元もしないため、酸性の飲み物や蒸気に触れても黒く変化したりはしません。
が、金箔などの例の通り、展延性(てんえんせい:薄く伸びる性質)に優れている一方で、あまり硬い金属ではないため、かたい布やスポンジで強くこすると剥げてしまう場合もございます。
洗ったり拭いたりする際には、一般的な手拭きタオルや食器用スポンジをお使い頂ければ、そのような心配なく末永くお使い頂けます。
また、もちろん電子レンジはお使い頂けないため、サクッとレンジでお燗や温め直し!とはいかないところもちょっと難点ではありますものの、角度を変えるたびに光りかたを変える金彩の魅力は、それを補って余りあるはずです。
■主宰者 - 社家12代 小泉蔵珍
・魯山人(ろさんじん)へのあこがれ
私が魯山人にひかれたのは、彼が古陶器の目利きに優れており、料理にかけては第一人者であった事にはじまります。
自ら厨房に立ち料理を振舞う一方、使用する食器を自ら創作していたそうです。
そのため作品のほとんどが食器であり、彼の器によって料理は引き立ち、器はまた料理によって彩られ……。
彼が乾山に魅せられ創作に取り入れたように、私もまた魯山人の作品を創作に取り入れて励んでいます。
そうして長年のあいだに、ポップさと昔ながらの絵付けの融合、大人向けの柄で小ぶりなもの、子供向けの柄には転がりにくい工夫をと、ありとあらゆる形、柄のものができあがりました。
ひとつひとつ手でこね、絵付けをすることから生まれてきた作品性と、料理やごはんを盛ってこそ映えるうつわとしての実用性。
これからも料理を活かすための器づくりを目指して精進していきたいと思っています。
■プロフィール
江戸時代より続く社家(神官)の12代目として多治見に生まれ、岐阜県立陶磁器試験場工芸科研修生課程を修了し、幸兵衛窯にて修業。
5代目幸兵衛、加藤卓男(人間国宝)両先生に師事。
・陶磁器意匠展第1席 知事賞受賞
・昭和45年 現在地に蔵珍窯開窯
・昭和46年 陶磁器デザイン総合展 最高賞受賞
・昭和63年 工房「集楽窓」完成
・工房内に太平神社(陶の神と火の神を祀る)造営
・平成2年 熱海にあるMOA美術館より黄金天目茶碗と、重要文化財・仁清作金銀菱色絵重茶碗の本歌写しの制作を依頼され完成。東京・根津美術館の好意により、乾山絵替土器皿の本歌写しをする
・平成3年 名古屋MOAギャラリーにて個展
・平成5年 下呂・水明館・臨川閣「弥生の間」にて個展
・平成6年 岐阜県神社庁御用窯に指定される
・平成9年 子ども美術館を工房内に開館
・平成15年 工房内にある太平神社の社標・神門・玉垣を造営