横浜にココショク直営店もございます。
香りを直にお確かめ頂けるのはもちろんのこと、さまざまなお香立てや香皿との組み合わせをご覧頂けます。
お近くに御用のある際は、ぜひ一度お越しくださいませ。
詫び、寂び、日本らしさ。それでいてすこし独特。
手作りお香の悠々庵(ゆうゆうあん)
悠々庵さんは、企画・製造・パッケージングにいたるまで、すべての工程を日本国内、手づくりで行うお香のブランドです。
ブランド名は「悠々自適」から―――悠々と過ごせる時間をお客様の暮らしの中に。
その製品は、桐箱に入った伝統的な沈香(じんこう)や白檀(びゃくだん)から、「パッションフルーツ」「メロン&カシス」なんて聞くだけでおいしそうなお香、そして、なんと本物の漢方成分を含んでいるというアバンギャルドなお香まで、伝統からモダンまでのこの幅のひろさ!
ところで、製品について続ける前にはじめにご紹介したいのは、『善なる心』という悠々庵さんの企業理念です。
悠々庵さんは、これから先もお香製造に携わる企業として、「国際熱帯木材機関(ITTO、横浜市みなとみらいを本部とする国際的な熱帯樹木のバランサー)」の活動に売り上げの一部を寄付しています。
・私たちが嗅いでいるのは「地球の一部」
というのも……日本の伝統的なお香のベースには、ほぼ例外なく、タブノキという日本南部〜インドネシアに育つ樹木の皮の粉末が使われています。
そこへ植物の粉末や精油を加えることで各種の香りを調合するのですが、それら原料である植物も、やはりその多くが熱帯性〜亜熱帯性気候の土地で育ち、人の手によって栽培・管理することで持続しているものばかりです。
なかでも白檀や沈香、フランキンセンス(乳香)などは高価で取引されるため、しばしば乱獲や違法伐採にさらされるほか、土地の乱開発によって種の存続が危ぶまれている地域もあるほど。
だからといって「木を切ることが悪」というのは大間違いで、むしろヒノキやスギについてご紹介させて頂いた通り「木を使うことが森を育てる」……と、国内・海外を問わず、常にこのテーマはバランス・共存というキーワードに行き着きます。
人によっては毎日焚くほど身近なお香……なのに、そのお香が実際に自然の一部から作られるもので、だからその領域は人が管理していかなければならない、という点についてはあまり語られません。
だからこそ、現在のようにサスティナブル、SDGsといった概念が広まる以前からきちんとそこに目を向けていた悠々庵さんの理念は、なんというか……清々しい!
いま焚こうとするお香の良い香り、そこへ、その一本が、いちばん最初の生産者である自然にすこしでも還元されているという感覚が加わるとしたら、きっとそれは、すこしだけフェーズの違う豊かさに結び付くと思うのです。
※ 小休止
(「天然素材100%の虫よけ香」の効果を確かめるために、弊社の駐車場で準備をするスタッフ。
この映像から10分ほど経つころ、この日の昼は暑すぎて蚊がいなかったことにようやく気がつきます。)
・かわいいぜ、パレットさん……
さて、悠々庵さんの製品のコンセプトは、『華美にならずも粋で、日本文化らしい詫び寂びを含んでいること』。
パッケージは「めちゃくちゃかっこいい!」ものだとちょっと部屋に置いたら浮く気がするし、古風すぎるのもちょっと……
かといって、ご進物に選ぶなら品格のあるものがいいし……
このあたり、悠々庵さんの製品はバランスがよくってありがたい!
それでいて最初に触れた「漢方香」のような尖ったものや、変わった包装のものも。
桜のお香シリーズには、ソメイヨシノならその枝が、八重桜ならその枝がパッケージにちょこんと挟んであったり……
まるでカラーペンの替え芯のようにカラフルに並んだ「パレット入り」のシリーズに、ほかにも、れっきとした理化学用のテストチューブ(試験管)に入ったショート線香やホワイトセージ香に……
華美にならず、オーソドックスでありながら、細かいところでちょっとずついい。
そんな控えめな「粋」の雰囲気も一緒に味わえるのも悠々庵さんの製品の魅力です。
(とか言いつつ、わたしのお気に入りは王道すぎる沈香(じんこう)と乳香(フランキンセンス)です。
子どもの頃は沈香を嗅ぐと「お寺じゃん!」としか思わなかったのですが、今では一周まわって複雑でモダンに感じる不思議。ホットコーヒーによく合います。
乳香はいつでも、いつまでもエキゾチック……どちらも千年以上にわたって、教会やお寺で使われ続けているのもうなずけます。
桐箱に入れておけば湿気(しけ)にくいし、部屋のすみにあってくれるだけで気持ちが落ち着くんです……沈香や、ああ乳香や、沈香や。)
・悩んで楽しいお香立て
最後にさてさて、お香のお楽しみといえばやはりお香立て。
お香の悩みどころがあるとすれば、それもやっぱりお香立て。
当店では悠々庵さんの香皿や香炉に、富山県の高岡銅器の技術でつくるお香立て・香皿シリーズ、かなりの変わり種としては、岐阜県で航空機部品を作っているメーカーさんのお香立ても取り扱っているのですが……
なにしろどれもきちんと人気を分かち合っていて、おすすめを決めるのがむつかしい!
和風かつ可愛いといえば「鳥獣戯画のお香立て」や「赤富士・青富士」……
でも西欧風のインテリアにはすこし無口な「オーバルトレー」と「ボール金」の組み合わせも据わりがいいし、空間が引き締まる「縞香炉 金彩」はひとつでばっちり決まるし……
うーん……だめです、やっぱりイチオシは決められそうにありません。
それでは、悠々庵さんの素敵で、カラフルで、あるものは激シブなお香の数々をぜひゆっくりご覧くださいませ。